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業界基礎知識

The Model(ザ・モデル)とは?SaaS営業の組織論を初心者向けに整理

🗓 2026年5月18日 公開 🔄 2026年5月19日 更新 ⏱ 読了時間:約8分 ✍️ 著者:ITてんしょく相談室 編集部
The Model(ザ・モデル)とは?SaaS営業の組織論解説のアイキャッチ
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SaaS業界の求人を見ていると、ほぼ必ず登場するキーワードが「The Model(ザ・モデル)」です。インサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサクセス——耳にしたことはあっても、それぞれがどう連携し、なぜ広まったのかを整理しきれている人は意外と少ないかもしれません。この記事では、未経験からSaaS企業への転職を検討する方に向けて、The Modelの基本構造と背景、最新トレンド、転職に活かせるスキルまでをまとめます。

The Modelとは/Salesforceが提唱したSaaS営業の分業モデル

The Modelとは、米Salesforce社が自社の成長過程で築き上げた営業プロセスの分業フレームワークを指します。日本では同社の元日本法人社長・福田康隆氏の著書『THE MODEL』をきっかけに広く知られるようになりました。従来の日本企業に多かった「一人の営業担当者が見込み客の発掘から契約、その後のフォローまですべてを担う」スタイルとは異なり、見込み客(リード)の獲得から受注、契約後の継続利用までを4つの専門組織に分け、データで連携させながら回していくのが特徴です。

背景にあるのは、サブスクリプション(月額・年額課金)モデルの特性です。SaaSは1回売って終わりではなく、契約後も継続して使われることで収益が積み上がります。だからこそ、各フェーズに最適化された専門チームがバトンを渡すThe Modelの考え方が機能します。

4つの分業(マーケティング/インサイドセールス/フィールドセールス/カスタマーサクセス)

The Modelの中核は、次の4つの機能に役割を分割することにあります。

  • マーケティング:Web広告、オウンドメディア、ウェビナー、展示会などを通じて、見込み客(リード)を集める役割です。獲得したリードをスコアリングし、商談化しやすい状態でインサイドセールスに引き渡します。
  • インサイドセールス(IS):電話・メール・オンライン商談ツールを使い、リードと対話しながら課題感や導入意欲を見極めます。すぐに商談化できそうな案件をフィールドセールスにパスし、まだ温度が低いリードは「ナーチャリング(育成)」していくのが仕事です。
  • フィールドセールス(FS):商談化したリードに対して、デモや提案、見積もり、クロージングまでを担当します。SaaSでは初回契約金額より、長く使ってもらえることが重要なため、無理な押し売りではなく「合う顧客を見極めて契約する」スタンスが求められます。
  • カスタマーサクセス(CS):契約後の活用支援、定着支援、アップセル・クロスセル、解約防止までを担います。顧客の成功が自社のMRR(月次経常収益)を支えるという思想が根底にあります。

それぞれのSaaSビジネス特有の用語に慣れておくと、求人票や面接の話が一気に理解しやすくなります。

KPI連携(リード→案件→受注→継続)

The Modelの真価は、4つの組織を「数字でつなぐ」点にあります。各チームの成果は次工程のインプットになるため、KPI(重要業績評価指標)が滑らかに連鎖する設計が前提です。

  • マーケティング:MQL(Marketing Qualified Lead)数、リード獲得単価(CPL)
  • インサイドセールス:SQL(Sales Qualified Lead)数、商談化率
  • フィールドセールス:受注数、受注率、平均契約単価(ACV)
  • カスタマーサクセス:チャーンレート(解約率)、NRR(売上維持・拡大率)、アップセル金額

例えばマーケティングが大量にリードを集めても、質が低ければインサイドセールスの商談化率は下がります。逆にカスタマーサクセスが解約を抑え込めば、フィールドセールスの新規受注が積み上がってARR(年次経常収益)が大きく伸びます。各チームが自分のKPIだけを追うのではなく、前後のチームとの「歩留まり」を一緒にモニタリングするのがThe Model型組織の標準的な動き方です。SalesforceやHubSpotといったCRM/MAツールが当たり前に使われるのも、このKPI連携をデータで可視化するためです。

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The Modelが日本のSaaS企業に浸透した背景

日本でThe Modelが広まったのは、おおむね2015〜2020年頃です。背景は3点あります。第一に、SaaS市場そのものの拡大です。クラウド会計、名刺管理、人事労務、SFA/CRMなどのスタートアップが次々と上場し、「The Modelをどう導入したか」が経営の標準テーマになりました。第二に、コロナ禍によるオンライン商談の一般化です。訪問前提のFSから、IS主導の非対面営業へとシフトが進み、分業モデルとの相性が高まりました。第三に、属人化していた営業活動を「再現性のあるプロセス」に変えたい、という経営課題があったことです。誰が入社しても一定の成果を出せる仕組みづくりとして、The Modelは強力な共通言語になりました。

The Modelの限界と最新トレンド(RevOps/Account-based)

一方で、The Modelをそのまま導入すれば成功するわけではない、という議論もこの数年で増えてきました。代表的な論点は次の3つです。

  • 部門間の分断:KPIを分けたことで、自部門の数字だけ追い、顧客体験が分断されてしまうケース。
  • エンタープライズ案件との相性:大型案件は複数部署・複数キーマンを巻き込む長期戦になりやすく、単純なバトンリレーでは対応しきれません。そこで「ABM/ABS」と呼ばれる、特定アカウントにマーケ・IS・FS・CSが一体で動くアプローチが注目されています。
  • SMB向けと中堅・大手向けの最適解の違い:プロダクト主導の「PLG」や、収益全体を統合運用する「RevOps」が広がり、4分業を土台にしつつ柔軟に組み替える企業が増えています。

つまり今のSaaS業界では、「The Modelを知っているか」ではなく、「The Modelをベースに、自社の事業フェーズや顧客特性に合わせてどう運用しているか」が問われるようになっています。

The Model型SaaS企業への転職に役立つスキル

The Model型のSaaS企業へ転職する場合、ポジションごとに評価されるスキルは異なりますが、共通して見られているポイントがあります。

  • 数字でプロセスを語れること:「頑張った」ではなく、「商談化率を◯%改善した」「チャーンを◯ポイント下げた」など、KPIで自分の貢献を説明できる力。
  • SaaS/サブスクリプションビジネスの構造理解:MRR、ARR、LTV、CAC、ユニットエコノミクスといった基本指標の意味がわかること。
  • ツールリテラシー:Salesforce、HubSpot、Marketo、Intercom、Notionなど、CRM/MA/カスタマーサポートツールへの抵抗感のなさ。
  • 顧客起点で考える姿勢:とくにCS・ISでは、相手の業務やKPIを想像し、自社プロダクトでどう成果を出せるかを言語化する力が問われます。

未経験から狙う場合は、まずはインサイドセールスやカスタマーサクセスがエントリーポイントになりやすい傾向があります。具体的な求人比較やキャリアプランを作るうえでは、SaaS業界に強い転職エージェントに相談しながら、SaaS企業の一覧で事業フェーズや組織体制を見比べていく方法が現実的です。

Q&A

Q. The Modelは中小規模のSaaSでも導入すべきですか?
A. 全社員10〜20名規模であれば、フルにThe Modelを敷くより、まず1〜2名がマーケ・IS・FSを兼務しつつ、CSだけ早めに専任化する形が現実的です。フェーズに応じて段階的に分業を進める企業が多いです。

Q. インサイドセールスとテレアポは同じものですか?
A. 重なる部分はありますが、目的が異なります。テレアポは「アポ獲得そのもの」が目的になりがちなのに対し、ISはCRMに記録された顧客情報をもとに、確度の高い案件を見極めてFSへ渡す「分析・育成」の役割を担います。

Q. 営業未経験でもThe Model型SaaSに転職できますか?
A. 可能です。とくにIS・CSは、コールセンター経験、法人向けサポート経験、企画・編集経験などからの転身事例が多くあります。SaaSの仕組みと主要KPIを学んだうえで、自分の経験をどう接続できるかを言語化することが鍵になります。

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編集長ハル
マーケティング × データ分析 × AI活用を軸に、SaaS・IT業界の転職情報を「データ」と「実体験」で発信。WEB解析士初級/GA4実務。プロフィールを見る →